« 仕事納め | トップページ | 飯田に来てます »

2004.12.29

ドン・キホーテばかり燃やされている

 ドン・キホーテでの火災が留まるところを知りません。さいたま市で死者が出るほどの惨劇が起きたにも関らず、大阪や東京の店舗が火災に遭いましたが、一つの企業を狙い撃ちしたような火災で、一種の愉快犯を越えた何か不気味な様相を呈してきました。

 以前、ドンキについて記事にしましたが、この一連の火災が起きた後も私的にはここの店舗を利用する気がないことは別段変わるところはありません。何分近所にないですし、それほど目をひん剥くほど安いというわけでもなさそうですし。

 ところで、ドンキの一連の事件を受けてネット上で検索してみました。やはり感心が高いのか、blogでもあちこちで書かれております。その内容を見ると、ドンキに対して噂されていた住民への対応や消防法違反に絡めてドンキに対して批判的な内容と、あくまで放火された被害者ということによる同情的な内容で二極化の意見が出来ております。どちらも「なるほどな」と感心させられる意見ばかりですが、同時にどちらも正論ではないかと感じます。

 そのドンキ関連の記事をあちこち検索しているうちに、独立行政法人 経済産業研究所のサイトに当りました。ここには、ドンキの成功の道筋を分析した記事があるのですが、「常識」にとらわれない「反則技の集大成」と分析しております。「深夜営業」「買い場の楽しさ」、そして「権限委譲」という3つの柱がドンキをここまで成長させていったと出ております。確かにそれまでコンビニくらいしか深夜営業をしてなかったところへ、コンビニよりも安く品物を手に入れることが出来るドンキが登場すれば、そちらへ流れることは自然の流れでしょう。それとコンビニが生活に必要な最低限のものしかおいてないのに対し、ドンキの場合は電化製品やブランド品といったものまで、ありとあらゆる製品を店内においているところが、買い物を楽しむ客にとっては魅力になるところでしょう。

 2番目の買い場の楽しさですが、こちらはあの火災の原因と言われている圧縮陳列による店内構造に表れています。ただ単に買い物をして帰るというところではなく、店内で探しながら欲しい品物を見つけると言う、いわば宝探しの楽しさを体験させてくれるところということですが、このサイトでは、時間消費型の流通業として説明されています。しかしこのスタイルは決してドンキの専売特許というわけではないようでして、かつての日本のあちこちで見ることが出来た町の商店街が、あらゆる種類の店舗が軒を並べてお客を待っていたところと通じるものがあるとしています。

 3番目の権限委譲ですが、仕入れや在庫管理から販売まで全てをその店舗に任せると言うものですが、他のチェーン店ではこういった権限委譲はまずありえないスタイルだそうで、いわば、個人商店が店内に軒を連ねているという見方もできるようです。

 こうしてみると、ドンキが目指す方向というのは、まさにそれまでの規制に対する”挑戦”であり、まさに小説に出てくるドン・キホーテそのものがこのビジネスと言う世界の中で”大きな規制”という見えない巨大な敵と戦っているというイメージが湧いてきます。

 社長の安田隆夫氏は慶応大学を卒業後、不動産会社に就職するものの、折からのオイルショックで会社が倒産。しばらくは、今で言う”フリーター”をしながら、「泥棒市場」というドンキの元になる店を開き、今のドン・キホーテを築き上げるわけですが、教師を親に持った彼にとっては、それまでの既得権益や規制というものはまさに耐えられない”異物”と感じたのではないでしょうか?それは、例のクスリの24時間販売の一件にも表れておりますが、このときは厚生労働省とケンカをしたあげくに、今度はタダで配布すると言う行動に出ました。この時は最終的には厚生労働省に軍門に下った形にはなりましたが、市販のクスリを24時間販売するというこれまでにない方針を打ち出したドンキには、多くの消費者が賛同したことも事実であります。

 これを見れば、安田社長が必ずしも悪であるという考え方は当てはまらないのではないかと考えます。私もドンキのこれまでの会社のやり方にはあまりいい印象はもってはおりませんでしたが、安田社長の理念自体については、いろいろと勉強させられるところもありますし、賛同できる面もあります。とかく既得権益を守るという点においては、今年はプロ野球で起きた再編問題が当てはまりますね。近鉄とオリックスの合併により一度は1リーグに傾いたものの、ストライキを経てそれは食い止めることが出来ましたが、新規参入については規則を変えるという事態になり、結果的には楽天が新たに来シーズンからプロ野球に参入するということになりました。本来でしたら、それなりの資金力があるんであれば、簡単な審査を行ってすんなりと加盟を認めるべきであるんですが、一連のゴタゴタ劇にはイライラしたプロ野球ファンも多かったことと思います。

 ついでに言えば、さいたま市で起きた火災の後、市の消防局が会見を開いた際に、ドンキの関係者がいないか確かめたにもかかわらず、会見後社員が紛れ込んでいたという事件がありました。この事件については、マスコミ各社が取り上げてTVでみ報じられていましたが、ドンキにしてみれば、自分のところでおきたトラブルについての情報を得たいという気持ちがあったものの、記者クラブという規制に阻まれてしまったということで、これもドンキらしい規制に対する挑戦を感じさせられる一面と捕らえてしまいました。

 そうした安田社長の大きな権力に対する挑戦でありますが、一方でドンキが行ってきた方針がいわば曲がり角に差し掛かっていることも事実なんではないでしょうか?例えば24時間営業ですが、コンビニはともかくとしても、最近は大手スーパーが24時間営業を始めるところが増えてきました。これらのスーパーは繁華街にあることが多く、通勤帰りのサラリーマンが立ち寄って買って帰るという方もたくさんいるんじゃないかと思いますが、これはドンキにとっては大きな脅威となりえるところでしょう。また、エンターテイメント性ですが、そもそもエンターテイメントはそれを受ける顧客にとってはすぐに飽きが来るものなんですね。そんなわけで、短期間に次のネタを探さねばならない。しかし、元々
は品物を売るというのが本業なのであって、別にお客さんを笑わせることが本業ではないドンキが、次々と楽しませるエンターテイメントを生み出せるのかといえば、それはちょっと難しいでしょう。あの”圧縮陳列”にしたって、一連の火災事件によって、それが”アキレス腱”となりえるところまで来ていると思います。

 こうしたドンキの”専売特許”が必ずも経営において必ず成功するメソッドになりえない状況になってくれば、こうした規制を破ろうとする型破りな企業は、業界全体からすれば浮いた存在になってしまう危険があるわけです。それに重なって、これまでの周辺住民とのトラブルや出入業者との契約上の問題などがあれば、おのずと行き詰ってくることは確かなわけなんですが、そのあたりは、”弱り目に祟り目”というところなんでしょうかね?

 おとといの新聞記事には、ドンキの全店で防火対策を講じると出ておりました。今の状況を思えば、こうせざるを得ないところでしょう。これ以上被害が広がることは望ましくない状況ですが、このまま沈静化の方向へ向かって欲しいものであります。

|

« 仕事納め | トップページ | 飯田に来てます »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

おはようございます。ものすごい分析と辛口でしばし読みいってしましました。
私が以前「屈辱感」と書いたのが全く逆の特徴なんですね。購買者心理というのは変わったのでしょうか?
対極のデパート、私はこちらが好きなのですがまず「商品以外に何かしらのものがある」「売る側の責任がある」などがあります。
まず接客態度がしっかりしています。当たり前の光景ですが、今では希少価値にさえ思います(バイトみたいな店員ばかりだから)次に「信頼できる商品がおいてある」です。ドンキに置き換えれば「商品さえ買えれば売り手はロボットでも構わない」「商品の良し悪しは自分で決める」とまるで業務用品の仕入れのようです。日本人ってそんなに目利きのユーザーっていたかよ? の世界です。だから粗悪品が大量にさばけるわけですよね。海外製品も問題なくさばける。しかし長持ちはしないのにね~

これを食に置き換えれば「食べられるのだったら何でも良いでしょ」とばかりにおかずもご飯も味噌汁も一緒くたにしてかき込む姿、もっといえばサプリとカロリーメイトで食事を終わらせる姿。これは屈辱以外の何ものでもないでしょう。前回はこんなことを思いました。

PS 北池袋の食堂街は開業時から「最悪」の店しか入っておらず「時間の問題だ」と思っていたところ「時間より早く」撤退です。跡地のラーメン屋も時間の問題でしょう。ただHitもあって「半田屋」が1Fに入ったこと。これは初のHitです。

投稿: SATO | 2004.12.29 07:41

 あけましておめでとうございます。本年もどうかよろしくお願いいたします。

 実は半分ビールが入った状態の中で書き綴ったという次第でして、内容が伴わないところもあるかと思います。

 私もデパートの方が性に合っている方でして、落ち着いてゆっくりと品物を見定めるというのが本来の店のあり方と考えていました。それを考えれば、ドンキの戦略はどうしても違和感を感じざるを得ない訳でして、やはり今後ともドンキに足を踏み入れることはおそらくないであろうと考えます。

 年末にスマトラ沖の大津波の事件や奈良での女児誘拐殺人事件の容疑者が逮捕されたことで、ドンキの話題が忘れ去られる現在の状況ですが、これに乗じて再び事件が起きないよう願いたいですね。


投稿: mattoh | 2005.01.01 20:06

mattohさん、はじめまして。
TBさせていただきました。

>こうしてみると、ドンキが目指す方向というのは、まさにそれまでの規制に対する”挑戦”であり、まさに小説に出てくるドン・キホーテそのものがこのビジネスと言う世界の中で”大きな規制”という見えない巨大な敵と戦っているというイメージが湧いてきます。

この事件に関してはドンキは単なる放火事件の被害者だと思います。

ただ周囲への影響を考えない深夜営業や圧縮陳列など、その「規制」が存在する意味を考えずに自社の利益の為だけに「挑戦」し続ける姿には正直疑問が残ります。

投稿: Nyama | 2005.01.02 23:55

 こんばんは。コメントありがとうございます。

 年が明けて、川崎市内のドンキ関連の店舗がまたやられましたね。ここまで来ると、ドンキ=放火しやすい店舗というイメージが出来てしまいつつあるという印象がぬぐいきれません。

 ドンキ側も、防犯訓練を行ったり、全店舗にスプリンクラーを設置するなど、防火対策に重きを置くとしていますが、現時点では放火されにくい対策を講じないと、かなり苦しいのではないかと感じます。要は、圧縮陳列の見直しを図ることもあるんですが、ただこれを見直してしまえば、ドンキのこれまでのスタイルを変えるということになり、会社側にとってもそれなりのリスクがあると思います。

 ただ言えることは、いかなる経緯があっても、放火の被害にあったドンキ側は被害者には変わりはありませんで、放火犯に対しては早急な身柄の確保をすべきですね。

投稿: mattoh | 2005.01.04 22:10

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/912/2403103

この記事へのトラックバック一覧です: ドン・キホーテばかり燃やされている:

» 『ドン・キホーテ』とNyama 其の3 [とNyama]
組織的に狙われているのでしょうか? ●ドンキ入居ビルで紙燃える=器物損壊容疑で捜 [続きを読む]

受信: 2005.01.02 23:36

« 仕事納め | トップページ | 飯田に来てます »